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第37回マイニング探検会(東京)を開催しました

第37回マイニング探検会

http://www.facebook.com/events/230829273721682/

 

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日時 7月5日(金)19:00-21:00

場所:国立情報学研究所(NII) 20F 会議室1

 

スケジュール:

  1. 19:00-19:30 講義「リバタリアニズムとパターナリズム」(清田)

  2. 19:30-20:20 「リパタリアニズムとパターナリズム」についてのディスカッション

  3. 20:20-20:40 「図書館のDB比較から新たな価値を!」(前田)

  4. 20:40-21:00 次回以降についての相談

係分担:

  • 記録係:前田
  • 中継係:嶋田
  • タイマー係:関戸

[講義「リバタリアニズムとパターナリズム」(清田)]

 

清田氏からリバタリアニズムとパターナリズムの統合と、その図書館サービスへの適用をテーマに講義がありました。リバタリアニズムは完全自由主義、パターナリズムは父権主義です。図書館サービスにあてはめて考えると、「利用者の意思の尊重に重きを置く立場」と「専門家としての支援に重きを置く立場」となります。この一見相反する立場ですが、サービスでは以下のように適切にデフォルト値を設定することにより、リバタリアニズムとパターナリズムの統合が考えられるそうです。

 

1.利用者の利益を最大化するオプションをデフォルトにする

2.ただし、デフォルトオプションは拒否可

 

このデフォルトの設定について、京都でのマイニング探検会の議論も含め以下のような視点が挙げられました。

 ・図書館トップページに置くべき(デフォルトにすべき)はディスカバリーかOPACか(併用している大学もあるが、ディスカバリーをフロントエンドに、OPACをバックエンドにしているケースが多い) ・万人にとって満足の行くデフォルトなどあり得ない。OPACもディスカバリーもすべて認証付きにしてはどうか。それにより有用なログ分析もできる。

 ・究極には利用者個々のデフォルト(パーソナライズ化)だが、一気にそこに向かうのでなく、学部・学科・研究分野などの属性単位にデフォルトを分けるという手もある。

 ・図書館の自由に関する宣言とリベラリズム(リバタリアニズムとは別)

 ・マイクロソフトのOffice Assistant「カイルくん」の失敗とその原因

 

[「リバタリアニズムとパターナリズム」についてのディスカッション]

清田氏の講義を受け、活発なディスカッションが行われました。

主な論点や意見次のとおりです。

・なぜ、リバタリアニズムとパターナリズムのような抽象的な議論をシステムで取り上げる必要があるのか

・図書館不要論などに対して、いままでにないアクションを起こすには抽象論も必要ではないか

 ・そもそも現状では、リバタリアニズムとパターナリズムのどちらの立場に立ってサービスを行っている図書館が多いのだろうか。利用者の多様性を重んじる公共図書館ではリバタリアニズムの、利用者へのリテラシー教育を重んじる大学図書館ではパターナリズムの立場を取るケースが多いように思うが。

・図書館員ではなく利用者がパターナリズムを発揮するという見方もできないか

・ディスカバリーとOPACの選択といったときに、図書館のヘビーユーザーほどOPAC派

・ディスカバリーはユーザーの情報探索のスキルを向上させるのか。

・ディスカバリーの本来の目的(ビジョン)は「利用者の資源発見力」の向上であるはずだが、ここ数年のディスカバリーの導入でそれがどの程度実現できたのか(九州大や佛教大などでは一次資料への到達効率が上がったと聞いている)・図書館のミッションは利用者に図書館の資産を公開し利用できる環境をつくることだと思うがどの程度「資産運用」ができているのか。

・教員だと1つの論文を書くときに平均400-500の文献を収集すると言われているが、多数の文献がヒットしたときに、そのうちの○件を読めば、そのテーマについて○%の理解度といった研究はありえないか。

・今後、利用者の文献探索&収集など行動記録の分析(いわゆるビッグデータ分析)が次のサービスを生み出す重要な鍵となることは間違いないが、いくらパーソナライズ化が進んでも、図書館デフォルト(というかフィルタ)は残るだろう。情報リテラシー教育としても、そこをどうするかを考える必要がある。

 

[図書館DB比較から新たな価値を!]

資料: http://www.slideshare.net/genroku/ss-24138178

 

前田氏によるディスカッション用の話題です。「難語レポーター」ではWeb検索エンジンを使い、一般のWebサイトと学術サイトの用語出現頻度の違いを使うことで、用語の学術度を算出する仕組みでした。

これをWeb検索エンジンではなく、図書館のDBを使うことで「学術度」とは別の指標を求めることができないか、その際にはどのDB同士を比較すればよいかについて、議論が行われました。

・用語のヒット件数比較

-CiNii Booksと国立国会図書館サーチは内容がかなり重複しているので有効ではなさそう

-CiNii Books(図書)とCiNii Articls(雑誌論文)の場合は、用語の専門度が求められるかもしれない

・所蔵館数

-ある書籍に対して、大学図書館の所蔵館数と公共図書館の所蔵館数を比較することで、大学図書館所蔵本のうち、どの本が一般向け(初学者向け)か版・できるかもしれない

 

 また、東京大学柏図書館による学内図書館室の位置づけ評価の手法を全国の図書館向けに実施することができるのではないか、との提案がありました。これについて、専門図書館だけではなく普通の図書館の位置づけを調べてみることも面白い(予期しない特徴が見つかるかもしれない)との意見がありました。

 

最後に昨年度にマイニング探検会の実験用に作成した「評価表現辞書タガー ?楽しいかつまらないか?(実験ページ)」について簡単な説明がありました。

https://mbc.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/evaldic_tagger/

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Togetter: http://togetter.com/li/529526

Ustream : http://www.ustream.tv/channel/mitan37