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東大産学連携企業株式会社リッテル

第35回マイニング探検会(東京)を開催しました

第35回マイニング探検会

http://www.facebook.com/events/506623306068802/


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日時 5月24日(金)19:00-21:00

場所:株式会社ネクスト 3F 会議室1


スケジュール:

  1. 19:00-19:30

  2. 19:30-20:00

  3. 20:00-20:30

  4. 20:30-20:50

  5. 20:50-21:00 次回の予定など


係分担:

  • 記録係:日向野
  • 中継係:
  • 懇親会係:
  • タイマー係:

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Togetter:http://togetter.com/li/511595

Ustream:http://www.ustream.tv/channel/test-kiyota


記録


清田先生による話題提供

レファレンスと利用者の「限定合理性」

多くの検索サービスはユーザの合理的な判断ができるという前提で設計されているが

ヒトはいつでも合理的に判断するわけでない(限定合理性)


限定合理性を包括するこれからの検索サービスについて話題提供を行う


京都での話題

情報探しにまつわる「不安」にフォーカス

HOME'Sのユーザのログ分析結果

ー不安を埋めようとする行動が見られる

  不動産物件を探すサービス

  不動産会社を紹介した後もHOME'Sを使う

レファレンスを支援するようなWebサービスを作る

ユーザは問題を抱えていて、解決しようとしている


レファレンスで利用者の不安に応えるには

ー当座の不安を埋めるアプローチ

たくさんの情報を見れば安心する材料になる

なんらかの権威付けをすることで安心できる

ー本当の安心に辿り着くためには、あえて「葛藤」することも必要

あとあと振り返った時に納得するためには葛藤が必要では


Information anxiety=情報不安症

自分が理解していることと理解しなければならないと思い込んでいることのギャップにより発生


質より量へと重点が写ってしまった社会ではこれまで以上にホントの情報を知ることが重要


データと情報の違い


真の安心を提供するためには

答えではなくプロセスに価値があるのでは

レファレンスにおいてはレファレンサーと利用者との会話のプロセスが重要


プロセスの価値提供をどのように指標化する必要がある


京都での主な議論

・Webだからできる価値の提供

ー高額物件

 興味があっても店頭では聞きにくい(ひやかしに思われるのでは)

ー介護施設探し

 知人や身内にも相談しづらい

対面だと聞きづらいことをWebでは聞ける


・レファレンスエージェントの可能性について

ー自然言語的インタフェースなどはそもそもWebにはなじまないのでは

検索サービスでは自然言語では検索しない→キーワードを使う

本当に自然言語がユーザにとってやさしいのか

・おそらくエージェントそのままという形にはならない

・検索キーワードのサジェスト的な緩やかな支援が妥当か

OPACにも適用出来る

情報の選びかたの支援をする方向へ向かうのでは


当座の安心と本当の安心をくべつするものは何か

熟慮を経ているかどうか


行動経済学

・認知心理学からの発展

ー「ヒトは常に合理的に行動する」という従来の経済学の前提への疑い

・ヒトの限定合理性が大きなテーマ

ー合理的に判断できるときも多いが、そうでない場合もある

ー判断の偏り=バイアスに関する研究

参考本 ダニエル・カーネマン 「心理と経済を語る」「ファスト&スロー」


人の思考は二つのシステムに分けられる

・システム1早い思考 直感

早い判断 時間がかからない

直感がまず働く 努力を最小化 成果を最大化 ヒューリスティクス

たいていは上手くいくが、そうでない場合も


・システム2遅い思考 推論

論理的な判断 時間がかかる 努力が必要

システム1で溶けない課題が出た時にシステム2の論理的思考が動く

多大なエネルギーを要し、消耗しやすい


システム1のバイアス例

プロスペクト理論

質問A 以下の2つを選ぶ

1 コインを投げて表が出たら200万円を貰える。裏だと何ももらえない

2 無条件で100万円貰える


質問B 自分に200万の借金があるとして以下の2つを選ぶ

1 コインを投げて借金をチャラ、裏なら借金はそのまま

2 無条件で100万棒引きされる


実は同じことを言っているが「借金」という前提があると結果がかなり変わる


損失の方に人はよく反応してしまう

ギャンブルにハマる人がのめり込む理由


利用可能性ヒューリスティクス

システム1が記憶から呼び出しやすい事例によって判断が偏る

具体例

・日本では溺死と火災による焼死はどちらかが多い?

実際は溺死、しかし焼死のほうがニュースで身近に感じるので焼死と判断することが多い


・rではじまる単語と。rが3番目に出現する単語はどちらが多いか

rで始まる単語はすぐ浮かぶが、後者は浮かばないため前者を選ぶ→実際は後者


ピークエンドの法則

経験に対する評価は、そのピーク時の快・不快と最後の快・不快だけで決まる

Aさn 8分間の苦痛を伴う検査

Bさn 22分間の苦痛を伴う検査(最後はあまり痛くない)

Aさんの方がBさんのよりも苦痛と感じる


限定合理性にどうアプローチするか

1 合理的に判断できる利用者を対象としてサービスを作る

2 合理的でない判断をするユーザに対しては別のアプローチをとる

  a バイアスを活用して、サービスの利用を増やす

  b バイアスがある場合にも最終的に出来る限り合理的な判断をするように支援する

bを目指すべきと清田先生は考えている


議論(敬称略)

清田

レファレンスの果たす役割とは

システム1で探す情報を決めてしまいがちな場合に、システム2で検討する必要性を喚起する

システム2が疲れている時に、いったん休憩をしてもらうのもひとつの方法

山田 

システム2が疲れている時の具体的な処理とは

清田

日を置いて探す、一旦検討する時間が必要

利用者はすぐに答えを求めるがブレーキをかけることも必要


前田

人は情報はできるだけ多くを求めるものだが、多すぎて不安になることもある

清田 

情報が多すぎて処理しきれないということはよく起こる

前田

どこまでの情報量で線引するかということに加え、情報の多様性を得ることも必要

清田

少ない情報でも異なる情報源を組み合わせることで満足できるかも


田邊

OPACからディスカバリーに移行していく中でユーザはOPACを求める

ディスカバリーでは情報が多すぎるためきりがない

清田

情報が多すぎても、ここまで調べてもわからないならそれはそれで納得できる

ベストをつくしたということはひとつの安心につながるのでは、そのため情報が多いということには価値がある

いままでのマイタンでは0件ヒットに対してどうするかという議論だったが0件ということにも価値があるかも


田邊

情報の多い少ないは人によって判断が違う

・図書館側でもどれだけ利用者に情報を渡せばよいのか

・すべての情報を渡せばよいのか

・調べ方の道筋を示すべきか

今後のライブラリアンには問われる

清田

今までは利用者にどれだけ便利に利用してもらうかが重要だった

これからは葛藤してもらうことも必要になるのでは

田邊

情報推薦はフィルタをかける仕組みであるため、

フィルタがかけられていることに満足する人、満足しない人がいる

前田

入門書なのか専門書なのかを判断できることに需要がある

入門書を求めている人、専門書を求めている人がそれぞれ存在する

山田

情報をできるだけ多く渡すか、逆にできるだけ渡さないかという判断は難しい

戸崎

人による 低学年の学生に情報を渡しすぎると良くない


清田

ユーザの声だけ聞いているとろくなサービスは出来ない

レファレンスではユーザのニーズに答えることは必要だが、別の視点をサジェストすること

も必要

田邊

図書館側としては図書館の資料はできるだけ使われて欲しいため、

参考資料などいろいろな選択肢を渡す

これが本当に良いことなのか

清田

サジェストの見せ方が重要 押し付けてはいけない 頭の片隅に置いてもらうだけでもいずれ利用者の判断材料になる

視野を広げて自分で判断することが安心につながる→どうやって視野を広げることの重要性を利用者に知ってもらうか


清田

最近のWebサービスではユーザエクスペリエンスを重要視している

利用者の声だけではわからない部分を行動から分析する必要がある


電子の本では本に対してアクション(どこに注目したか等)を行える


本に対してICタグをつける取り組み

なぜ貸出まで行かなかったか、借りた後の行動も知ることができる


参考図書は貸出がないためどれくらい利用されてるかわからない

利用実態を調査するための取り組み

・参考図書がどれだけ棚のなかでずれているかで利用されているか間接的に分かる

・フォーカス・グループ・インタビュー


今後の開催予定

合宿は京都と東京共同で

場所は長野などが良いか

次回マイタンは京都で開催